酸塩基平衡、水・電解質が好きになる

酸塩基平衡、水・電解質が好きになる

 

日頃の疑問にわかりやすく答え、理論的背景を明確にする解説。ルール:この15のルールをマスターすれば、ややこしい計算をしなくてもOK。サイドメモ:ベテラン医師の知恵が満載.知っておくと、ひと味違う診療ができる。解説で学んだことを、演習問題で実践してみよう。
「part1 酸塩基平衡とは何? 」「part2 腎臓での酸塩基平衡の調節」「演習問題」


演習問題1

症 例:

45歳の女性。25歳時に妊娠中毒症と診断され,それ以降タンパク尿が持続していた。3年前に検診で高血圧を指摘されたが放置していた。
3カ月前から悪心、嘔吐、食欲不振があり受診した。血圧170/100mmHg, 両下腿に浮腫がある。
Na 127mEq/l 、K 6.7mEq/l 、Cl 95mEq/l 、BUN 150mg/dl、クレアチニン8.8mg/dl 、血糖120mg/dl、pH 7.24、PaO2 95 Torr、PaCO2 24 Torr、HCO3- 9mEq/l

(問題の文字をクリックすると、解説が表示されます)

*問題1~9は解説を表示しています。

問題1step1:アシデミアか、中性か、アルカレミアか?
解説1アシデミア(pH<7.40)です。
問題2step2:この患者の酸塩基平衡の状態は?
解説2PaCO2低下、HCO3- 低下があり、代謝性アシドーシスです。
問題3step3:Anion gapはいくらか?
解説3Anion gap = Na -(Cl+HCO3-)= 127 -(95+9)= 23
問題4step4:代償機構は正常か?
解説4HCO3- + 15 =9+ 15 = 24 ⇒ PaCO2になっています。また、pH = 7.24となっていますので、呼吸性代償機構は正常に作動しています。
問題5step5:Anion gapが増大している原因は何か?
解説5BUNが60mg/dl 以上の場合は、尿毒症によるものと判断します。
問題6pHと血清K値の関係は妥当か?
解説6

pH 7.24であり、酸塩基平衡による細胞内外の移動では、

となるはずなので 予測血清K値は、4.8mEq/l まで上昇しているはずです。実測値は、6.7mEq/l であり、細胞内から細胞外へのKの移動のほかに、尿からのKの排泄量の低下、摂取K量が多い可能性があります。
問題7高K血症の原因は何か?
解説7

pH 7.24であり、酸塩基平衡による細胞内外の移動では、

となるはずなので 予測血清K値は、4.8mEq/l まで上昇しているはずです。実測値は、6.7mEq/l であり、細胞内から細胞外へのKの移動のほかに、尿からのKの排泄量の低下、摂取K量が多い可能性があります。
問題8A-aDO2はいくらか?
解説8
A-aDO2 = 150 -(PaCO2/0.8)- PaO2 = 150-(24/0.8)- 95 = 120- 95
= 25
やや拡大しています。肺水腫になっているかどうかチェックする必要があります。
問題9直ちにどのような検査を行うか?
解説9

生命に直接に影響を与えるものは、高K血症ですので、これに対する対策が優先されます。心電図でテント状T波の存在あるいは不整脈があれば緊急性が高いと判断します(図4)。ただし、このような所見がなくても否定することはできません。

問題10の解説はこちら

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