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CASE STUDIES

事例紹介

食べることは生きること 訪問看護と出会い、食支援を通して生きがいを支える

株式会社景香 代表取締役
看護師|渡邉 かほり 様
訪問看護ステーション景香
看護師|小川 峰子 様 

  • #デイサービス
  • #多職種連携
  • #看護師
  • #訪問看護

公開日:2025/06/17

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法人について

  • 岐阜県岐阜市にある株式会社景香では、「デイサービス」「訪問看護」「居宅介護」「相談支援」「ヘルパーステーション」を行っている。
  • 隣接する「ほそばたクリニック」と提携し、医療・看護・リハビリ・介護・福祉・予防までトータルでご利用者様をサポートしている。
  • 他にも、各事業に医師や看護師、理学療法士など、その道のプロフェッショナルが在籍しているため、レベルの高いサービスをご提供することが可能

法人での主なご活動

訪問看護ステーション景香では、現在4名の看護師が在籍しています。在宅療養をされるご利用者様・ご家族に寄り添った支援を行いながら『赤ちゃんからお年寄りまで住み慣れた場所で、自分らしく生きる』を支えることを目標としています。利用者様の中には同法人内のデイサービスを利用される方もおり、日頃よりデイサービススタッフとの情報連携をしながら業務に取り組んでいます。
また、代表取締役の渡邉様は、看護師特定行為研修を修了され、医師と協働しながらタイムリーに疾患や生活に合わせた専門的ケアを提供し、安定した在宅療養を送ることができるようにサポートしています。

訪問看護ステーション景香 スタッフ様

ぽけにゅー活用方法

訪問看護を利用する全ご利用者様の基礎データを「ぽけにゅー」に入力し、継続的なアセスメントを行っています。 また、 訪問看護とデイサービスの両方をご利用されている場合は、デイサービスで測定した体重情報と訪問看護師が実施した「食・栄養アセスメント」の情報を「ぽけにゅー」上で一元管理しています。

訪問看護師がご自宅に訪問する際は、「食・栄養アセスメント」の項目を参考にしながら、ご利用者様の上腕周囲長や下腿周囲長を測定したり、ご自宅での食事や内服薬の状況などの情報を確認し、看護カルテに記録しています。記録した内容は、月に一度「ぽけにゅー」に入力をして整理し、その情報と「食・栄養課題(食・栄養支援方法の例示)」を参考にしながら、追加の情報収集やご利用者様・ご家族へのご助言・ご提案を行っています。

図1.株式会社景香での「ぽけにゅー」活用方法

「ぽけにゅー」の導入について、渡邉様は以下のようにコメントをされています。
「導入当初はデータ入力に対する負担感がありましたが、一度入力することによりご利用者様の全体像が捉えやすくなり、必要な情報と理解できたことから継続的なアセスメントに繋がりました。継続することで「体重・BMIグラフ」の推移など客観的な情報も加わり、「ぽけにゅー」を使うことで、ご利用者様の食生活や栄養状態を“可視化“できることが非常に強みであると感じています。」

スタッフ全員で「ぽけにゅー」を閲覧している様子

ぽけにゅーを使ってよかった点

訪問看護師の小川様からは以下のコメントをいただきました。
「「体重・BMIグラフ」で推移を見ることで客観的にご利用者様の変化を確認できるため、「食べられなくて体重が減っている」という情報だけでなく、「何が足りなくて今月は体重が落ちたのか」原因を考えられるようになりました。そこから、食事調整の提案や自宅での食事内容と食形態の確認など、より深いアセスメントができるようになりました。」
「また、ご利用者様・ご家族に対してどのように食事や栄養のアドバイスを伝えればよいか困ったときに「ぽけにゅー」の「食・栄養課題」に表示される言葉ひとつひとつが参考になり、助かっています。」

他にも、訪問看護とデイサービスを利用するご利用者様の場合は、スタッフ同士や家族とのコミュニケーションの取り方にも変化が見られました。以前はご利用者様が自宅に持ち帰っている紙の報告書を訪問時に確認し、その上で家族との調整(相談等)が必要でした。現在は、「ぽけにゅー」上で情報の一元管理ができているため、ご利用者様の日中の生活状況の様子や栄養状態についてその場で確認でき、デイサービスのスタッフとご家族との情報共有が円滑になりました。

独居のご利用者様を心配するご家族には、「食・栄養アセスメント結果報告書」をお渡しし、食生活の状況や栄養状態について共有しながら「大丈夫ですよ」とお伝えすることで、ご家族の安心感を高めることができました。

継続的に行ってきたアセスメントの記録は、食事をとれない日が続いたときの緊急度の判断材料にもなり、看護師として安心感を持って栄養ケアに関わることができているとのことです。

今回は、「ぽけにゅー」を使った具体的な事例を2つお伺いしました。

■事例1 食事に苦慮していたAさんのケア

脊椎損傷を抱えるAさんにとって、食事・水分を摂ることは食べる楽しみを得るためではなく、褥瘡予防や状態悪化を防ぐことが一番の目的になっていました。膀胱瘻が詰まらないようにするために、大量の水分を飲めるだけ無理に飲み続けており、苦しまれている様子も見られました。

ー「ぽけにゅー」を使って必要エネルギー量と水分量を算出し、多職種で共有

Aさんにどのように介入しようかと考えたときに、小川様は一日に必要なエネルギー量と水分量を「ぽけにゅー」で計算し、「これくらいとれれば大丈夫ですよ」と客観的な数字としてAさんや連携する多職種に共有しました。
Aさんは20~30年前に一度栄養指導を受けたきりということもあり、目安が分からない中で本人なりに考えながら無理に食事や水分をとっていました。そこで、必要なエネルギー量と水分量を共有したところ「これくらいの量でいいんだね」と安心した様子でした。食事を作っていたヘルパーさんは、今まで「何でもしなければいけない」という気持ちがあったため、食事のことを数値的に共有できたことで、食事作りの負担軽減にも繋がりました。

図2.Aさんの栄養ケアにおける「ぽけにゅー」活用および訪問看護師・ヘルパーの連携(①~③の順に実施)

Aさんに必要なエネルギー量と水分量について具体的な目標を見出すことができ、その結果、関係者全員が共通の理解を持つことができました。今後は管理栄養士とも連携し、食事を楽しむ方向に繋げていきたいです。

■事例2 病院で胃瘻を造り退院したBさんと奥様への支援

Bさんは退院当初、経口摂取量に応じて胃ろうからの栄養剤の投与量を調整する計画になっていました。しかし、ご利用者様の体重減少や奥様の介護負担増加が見られ、在宅での適切な栄養管理が困難な状況でした。

 

ー 栄養摂取方法を見直し、介護負担を軽減

小川様はデイサービスで測定していた身長と体重データを「ぽけにゅー」に入力し、必要エネルギー量と水分量を算出しました。これにより、Bさんに必要な栄養管理が具体化され、主治医とも相談しながら、経管栄養をメインにしつつ、経口摂取はお楽しみ程度とする方針を立てました。

結果として、体重減少のペースは緩やかになり、Bさんの奥様も経管栄養の管理に慣れ、週末には以前より栄養剤の量を増やして入れられるようになりました。主治医は、奥様の介護負担を考慮しながら、栄養剤の量を急激に増やすのではなく、奥様のペースに合わせて調整を進める方針を指示し、経過を暖かく見守ってくれました。訪問看護師は栄養剤の投与回数や摂取量の進捗について、主治医と情報交換を行いました。

このプロセスにより、患者家族の不安は軽減され、体重減少が緩やかになることで安心感が生まれました。

図3.Bさんおよび奥様を支えるための訪問看護師・主治医の連携および「ぽけにゅー」活用(①~⑤の順に実施)

「ぽけにゅー」を活用することで、データに基づいた効果的な栄養アセスメントと栄養ケアが可能となり、多職種やご利用者様とそのご家族との連携の強化や訪問看護の質を向上させるための支援ツールにもなっています。

お客様のお声

渡邉様
「私たちとしては、「ぽけにゅー」を法人の中で取り入れたことが非常に良かったと感じています。訪問看護だけではなく、通所サービスの情報共有ができているということが強みになっています。訪問看護では、ご利用者様の体調管理をしながら日常生活を支えていく役割があります。体調管理として食事や活力の状況を見ていくことが重要であり、「食べること」は病気の悪化を防ぐだけでなく、生きることにも繋がります。」

小川様

「訪問看護による食支援を通して、「食べること」が生きがいやご家族とのコミュニケーションのツールになればと思います。ご家族の「食べてほしい」という思いに対し、ご利用者様の状態的に食べることが難しく、それぞれの思いから衝突してしまうこともあります。訪問看護が出会うことによって、食べられない状態であっても安心できるように栄養評価と食支援を提供し、食べることが少しでも楽しみや生きがいに繋がるように支えていけたらと思います。」