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アンメットメディカルニーズへの挑戦

一日も早く、患者さんへ有効な医薬品、医療機器を届けるために

研究開発センターで「臨床栄養研究室」「探索・創薬研究室」「再生医療研究室」を率いる3人の若きリーダーたち。それぞれの専門領域を行き来しながら、多様な視点から次世代の大塚製薬工場を見つめています。

研究開発センターには、非臨床での探索研究を進めている三つの研究室があります。それぞれのテーマは、当社の事業において大黒柱ともいうべき「臨床栄養」、第2、第3の柱となることを期待される医薬品や医療機器の「手術周辺領域」「探索・創薬」および「再生医療」です。

臨床栄養のベストパートナーを目指す当社は、質が高く貴重といえる輸液・臨床栄養研究を積み重ねてきました。しかも、それが創薬や再生医療などの研究領域と同居しているという大きな特徴があります。これによって多様な視点を持てるところが研究開発における強みです。

研究室を束ねる3人のリーダーたちが、それぞれの視点から研究課題や将来性、そして仕事の面白さを語り合います。

医療の場において栄養が、
これからますます重要になります

研究開発センター 鳴門研究所 臨床栄養研究室 室長 原田大輔

臨床栄養研究室は、簡単にいえば、手術後の患者さんや特定の疾患にかかった患者さんがどういう栄養をとったら回復が早くなるのかを研究しています。栄養管理はすべての医療の根幹をなすもので、いろいろな疾患を対象にしています。学問としては非常に間口が広く、研究分野の異なるさまざまな人が活躍できます。私自身、大学時代や入社直後には代謝酵素・薬物動態の研究をしていたので、実はあまり栄養学のことを知りませんでしたが、そうしたことは実務の中で身につけました。

医療における栄養が、超高齢社会に突入した日本ではますます重要な課題になっています。例えばサルコペニアという疾患概念があるのをご存じでしょうか。加齢や栄養障害、身体活動の低下によって徐々に筋肉・筋力を失っていくというもので、そのままにしておくと自立した生活が送れなくなってしまいます。こうした課題に対しては臨床栄養としてやるべきことがたくさんありますから、当社の役割は今後ますます重要になるはずです。

医薬品の研究開発では、非臨床試験を実施し、有効性や安全性を確認してから、患者さんに対する臨床試験にバトンタッチします。でも、その時点で私たちの手をすっかり離れてしまうわけではありません。製造販売の承認取得を最大の目標として、製剤や薬事、生産、最終的には営業部門の人とも協力していきます。それぞれ考え方の違う多様性にあふれた人たちと触れあい、ひとつの目的に向かっていく、そこがこの仕事の醍醐味じゃないかなと思っています。

新薬へのチャレンジを成功させたいです

研究開発センター 鳴門研究所 探索・創薬研究室 室長 岩田効志

当社は臨床栄養領域でのさまざまな研究とは別に、新薬開発へのチャレンジとして、低分子化合物を合成し評価するスクリーニングをずっと続けてきた歴史があります。探索・創薬研究室はこうした取り組みを引き継ぎ、さらに合成と薬理を一つの研究室にして機能強化するという狙いでスタートしたものです。

創薬には長い年月がかかります。私は2003年に殺菌成分の薬効評価を担当しましたが、その後、厚生労働省の承認を得るまでに約10年、さかのぼって開発プロジェクトの開始時点から数えれば、世に出るまで約20年もかかったのですから、まさに推して知るべし。

探索・創薬にはいろいろなハードルが待ち構えていて、うまく乗り越えらずにへこむこともしばしばです。例えば、スクリーニングの段階で何らかの毒性が出れば、少し物質の構造を変えて合成してみるのですが、もう1度試験すると今度はまったく効果がなくなっているなんてことは当たり前です。逆に、アッ、これはすごいものができそうだという瞬間があって、やったぞ!と感激したり。だからやりがいがあるし、成功させるまで諦めずに続けられるのです。

当社のコア技術を再生医療に役立てます

研究開発センター 鳴門研究所 再生医療研究室 室長 澤本修

再生医療はiPS細胞などが注目される非常にホットな領域で、私たちの研究室もいわゆる“細胞治療”の分野で幅広く探索研究を進めています。将来的には再生医療のコアとなる細胞そのものを当社の事業として展開していくことになるでしょう。

今は準備段階というところです。その中で私たちが注力しているものの一つが、細胞治療を側面から補助するような製品についての研究です。例えば、がん免疫細胞療法などでは人から細胞を取り出し、それを培養して活性化させ、再び身体の中に戻してやります。その細胞をより良い状態で戻してやるにはどうすればいいのか、培養液はどのような成分構成であるべきなのか。当社が輸液などで培ったコアな技術を、こうした再生医療の領域で役立てるところからスタートしています。

もう一つ形になっているものがあります。これはすでにニュースリリースも出ていますが、異種移植という分野で、バイオ人工膵島を人に移植して1型糖尿病の根治を目指す世界初の臨床試験が始まっています。このような移植医療においても当社のコア技術が貢献しています。

多様性を受け入れる土壌があります。

原田:大塚製薬工場には、個性的な人が多いですね。製薬会社として成長するには、こういう多様性がすごく強みになると思う。分野の違う研究者同士で意見を交わしたり、参考にしたりされたりして、そういう中で独自の考え方とか方向性が出てくるんじゃないでしょうか。そこが面白いところですね。

澤本:「少数精鋭」という言葉は「人数は少なくても優秀な人をそろえる」というのが一般的な意味ですが、大塚ではこれと異なる解釈があり、「『少数だから精鋭』つまり、少ない人数で一つのことをやり遂げようとする中で自ずと一人一人が精鋭になっていく」ということだと教わりました。

原田:仕事の中で精鋭になっていく?

澤本:そうですね。例えば私たちの再生医療研究室はかなりコンパクトなので、大きな組織のような分業制がないのです。みんながそれぞれ専門分野も得意なことも個性も違うけど、一人一人がいろいろな仕事をこなしていかないと回っていかない。結果的に精鋭とまではいわないまでもさまざまなスキルが身につくし、多様性を受け入れる土壌が培われてくるんだろうなと思います。

岩田:確かに入社したときから、先輩に、何でも自分でやれ!と言われましたからね。薬理だったら効力だけ見ていればいいなんてことはなくて、安全性とか薬物動態や、こまごまとした契約や交渉ごとまでこなしていました。例えば、導入品とかライセンス活動というのが製薬会社にはありますけど、そのためにいろいろな会社の人と会ったり、海外まで出かけて、データを議論したり、プレゼンをしたり…

原田:そういうことも若いうちから経験できます!

岩田:本当にとても良い経験になりました。

仕事を愛し追求して、情熱を持ち続けることが大切

岩田:研究室のリーダーになってみて、自分はもっと成長しなきゃいけないって、強く思うようになりました。それによってプロジェクトにもいろいろな影響が及ぼせたら良いなと思う。そのためにも、これからまだまだいろんなことにチャレンジしていきたい。

原田:みなさんはリーダーとマネジャーの違いってなんだと思います?私のイメージでは、マネジャーというのは、1に何かを足して2にするというか、枠が既に書いてある塗り絵に色をつけて絵にするという感じ、それに対してリーダーはゼロから1を創る、あるいは塗り絵でなく白い紙に自由なデッサンをするというイメージなんです。何もないところから立っていける人がリーダー。そういうふうになりたいですね。

澤本:月並みな言い方かもしれないけど、やっぱり方向性を示すことが大事でしょうね。自分の成長する後ろ姿を見せるということもそうですけど、次の世代の人を育てていくことが研究開発においてはいちばん大きい役割を果たしていると思うし、それがリーダーの役割じゃないでしょうか。

岩田:じゃあ、どんな人に来てほしいですか?私は、今やっていることを一生懸命、深く掘り下げて、その中でいろいろな苦労をしている人に来てほしいですね。そういう苦労をした経験が、きっと執念深い、粘り強い研究につながっていくと思いますから。

原田:私は、自分が今やっていること、やっている仕事を愛せる人に来てほしいですね。これは大学時代の恩師の教えですが、どんな地味で目立たない仕事でも、とにかく愛してやり続ければ、社会の役に立つし、いつか自分にも見返りが来ると思います。

澤本:私は、いつかこんな製品を創りたいと、ずっと思い続けられる人と一緒に仕事がしたいです。独創性とか、そのためのバックグラウンドとか、そういうことは気にしなくていいと思うんです。会社に入ってから学ぶことのほうが、ずっと多いのだから。漠然としていても構わないから、ものを創りたいという気持ちを持ち続けられる人なら、ぜひ来てほしいです。