トップ > 研究開発 > 医薬品・医療機器の開発 > すべての患者さんに最適な医療を届ける
治験と承認を経て世の中に届けられた新しい医薬品や医療機器が、その後、長期にわたって、臨床医療の現場で求められる効能や効果を十二分に発揮すること。それを可能にするのが「臨床応用開発領域」であり、研究開発センターではメディカルアフェアーズ部がその役割を担っています。
製薬企業のメディカルアフェアーズ部門は、製品発売後のステージでの活動を主体としながら、販売促進を目的としない営業部門から独立した部門です。
日本製薬工業協会が2019年4月に発表した『メディカルアフェアーズの活動に関する基本的考え方』では、「製薬企業におけるメディカルアフェアーズのミッションは、すべての患者へ最適な医療を届けるため、①アンメットメディカルニーズ※1を充足させる医学・科学的なエビデンスを構築し、医療関係者等へ情報発信する。②高度または最新の科学的知見等を用い、医学・科学的な交流を社外医科学専門家に対して行う。」と記されています。
メディカルアフェアーズ部門は、発売後の製品の科学的価値を引き出すとともに、患者さんに最適な医療を届ける役割を担っています。
大塚製薬工場のメディカルアフェアーズ部は、2015年11月に独立した部門として設立され※2、2021年8月より、研究開発センターの所属となりました。これにより、研究開発から市販後に至るまで一つの部門で協働する体制となり、新製品の研究開発状況や臨床課題がスムーズに共有されるようになりました。
大塚製薬工場は“The Best Partner in Clinical Nutrition”を経営ビジョンに掲げています。メディカルアフェアーズ部は、臨床栄養のベストパートナーとして、患者さんの予後改善につながる適切な栄養管理の普及を目指しています。入院患者さんの多くは栄養状態が悪いこと、また、入院患者さんの栄養状態は生存率、合併症、在院日数に影響を及ぼすことが知られています1。患者さんの栄養状態を改善するためには、必要とする栄養量を満たす管理が必要となります。しかし、これまでにメディカルアフェアーズ部で実施した栄養管理の調査によると、日本では病院の栄養管理体制に課題があり、患者さんが必要とする栄養量を満たす管理が十分に普及していないことが明らかとなっています2-7。
メディカルアフェアーズ部は、①アンメットメディカルニーズの把握、②メディカルプラン※3の検討、③エビデンスの創出、④医学・科学的情報の発信を行うことで、患者さんの予後改善につながる適切な栄養管理の普及を目指しています。
メディカルアフェアーズ部は、周術期、腎疾患、重症患者等の分野で適切な栄養管理の普及を目指して活動しています。疾患領域ごとに解決すべき課題を明らかにして、その解決のためのエビデンスを創出しています。また、創出したエビデンスを基に啓発活動をしています。
具体的には、アンメットメディカルニーズの把握のために、医療従事者を対象としたアンケート調査やリアルワールドデータ※4を用いた大規模な調査をしています2-7。また、医療従事者とのディスカッションを通じて臨床課題を把握する他、複数の社外医科学専門家に参加いただくメディカルアドバイザリーボードミーティング※5を開催し、対象となる疾患領域の課題のディスカッションを通じて情報を収集することもあります。対象となる疾患領域の現状や課題を明らかにしたうえで、課題解決に向けたメディカルプランを検討し、必要に応じて課題解決につながる臨床研究を実施しています。研究結果は国内外の学会で発表し、論文化して公表しています8-14。さらに、適切な栄養管理の普及に向けた啓発活動として、特定の疾患領域の最新情報の提供や議論を通じて医療従事者の専門知識やスキル向上を目指すメディカルエデュケーション会合※6を開催しています。このような取り組みを通じて、より多くの医療従事者に公正かつ中立的な立場から栄養管理の重要性をお伝えしています。
医療現場には様々なアンメットメディカルニーズがあり、医療の発展にはこれらの解決を目的とした研究活動が必要です。大塚製薬工場ではメディカルアフェアーズ部が定める研究テーマ以外にも、研究者主導研究※7や学会の研究助成事業を支援しています。私たちは、臨床栄養のベストパートナーとして、患者さんの予後改善につながる適切な栄養管理の普及を使命と考え、医療の発展に貢献していることを誇りに感じながら、日々の業務に邁進しています。